週末をまたいでの長めの出張だったので、土曜日の夕方に宮島に行き、日曜日は移動日でしたが、日中は、これまたかなり久しぶりの ”広島平和記念資料館” へ。
”原爆資料館”と呼んでましたが、”広島平和記念資料館”が正式名称なんですね。
子供の頃、大阪に住んでいたことがあって、その学校がとても平和に関する教育に重点を置いている学校だったので、原爆資料館にも来たり、夏休みの宿題が戦争に関する調べ物の課題だったり。
中学になって東京に戻ってきてからの修学旅行も広島、高校の修学旅行は長崎、と、原爆に関しての勉強に触れてきた私。
大人になった今、どう感じるものなのか。
今一度、平和について考えたいなと思いました。
着いてみると、記憶よりもずっと大きく立派な建物。
入り口には ”地球平和監視時計” が。
「広島への原爆投下からの日数」と、「最後の核実験からの日数」が表示されています。
この時計からも感じられるように、この平和記念資料館の役割として、「過去の広島原爆の悲惨さを後世に伝える」というものに加えて、「未来に同じことを繰り返させない」という意思を感じます。
この日も世界中の、様々な人種の人たちが来ていましたが、そのメッセージが本当に大事だと思いました。
そして、私は全然知らなかったのですが、平和記念資料館は2019年5月に大規模な改修工事が完了したばかりとのこと。
それもあって、日曜日でしたし、かなりの人でした。
館内は写真が撮れなかったのですが、
黒い壁と文字もスタイリッシュな、とてもモダンな空間デザインで、照明も、入り込めるような工夫がされていました。
(広島平和記念資料館 公式HPより拝借)
が、それと同時に、キレイに整備され過ぎていて、若干の違和感も感じました。
展示内容が、記憶にあるよりもずっと、ダイレクトなものではなく、被爆した子供達や人々のパーソナルな部分のストーリーにスポットを当てています。
(広島平和記念資料館 公式HPより拝借)
というのも。
広島の平和祈念資料館といえば、「被爆再現人形」が象徴的だと思うのですが、そういえば今回の見学では見なかったな。と思って調べてみたところ。
ウィキペディアによると、その「被爆再現人形とその撤去問題」というのがずっとあったようですね。
かなり長文になってしまうのですが、これは本当に考えさせられたので、ウィキペディアから引用させてもらいます。
2013年3月、2018年に予定されている改修工事にともない再現人形を2016年度までに撤去する計画が発表された。
しかし、この撤去計画に対しては、「多くの市民が、人形を撤去する理由は、怖すぎるからだと思っている」「人形は原爆の恐ろしさを後世の人々に理解させるために必要」などといった内容の反対意見が一般市民から多数寄せられているほか[39]、Facebookなどで市民団体による撤去反対運動が展開されている[30][40]。
(中略)
この問題について、Yahoo!Japanが2013年6月6日から6月16日にかけて「原爆資料館の『被爆人形』はどうすべき?」という題で意識調査を行ったところ、投票総数2万7640票の内訳は「現在の形で展示を続ける……1万6947票(61.3%)」「形を変えて展示を続ける……6359票(23%)」「撤去する……2847票(10.3%)」「わからない……1487票(5.4%)」という結果であった[41]。
再現人形の撤去の理由について広島市は、人形は非常に印象に残り、当時の惨状を伝える展示であるとの意見があるものの、被爆者からは「原爆被害の凄惨な情景はこんなものではなかった。もっと悲惨だった」という声もあり、人形を見る人によっては原爆被害の実態を実際よりも軽く受け止められかねないとした。
その上で、来館者に被爆の実相と二度と繰り返してはならないという思いを心に刻んでもらうためにも、誰が観覧しても個々人の主観や価値観に左右されない実物資料の展示が重要ということで、リニューアルに合わせて人形を撤去するとした。具体的な新しい展示方法としては
・被爆の実相を紹介する最初のコーナーで、一瞬にして壊滅した都市の中で多くの生命が失われたことを示すため、破壊されたレンガ壁など大型の被爆資料と亡くなった人たちが着用していた衣服、遺体や火傷を負った人たちを撮影した写真などを合わせ、当時の凄惨な状況がイメージできる展示を行う。
・他のコーナーでは、遺品や被爆資料、惨状を描いた被爆者の絵などと合わせて、亡くなられた方の遺影や被爆の状況、寄贈者の思いなども合わせて展示することにより、一人ひとりの命の存在や遺族の悲しみなどを伝える展示を行う。
・放射線による健康被害や家族を失った悲しみ、苦しみという心の傷など今日まで続く原爆被害の実態を展示する。 など原爆被害の全容を示し、これまで以上に原爆の非人道性や原爆被害の悲惨さ、被爆者の苦しみ・悲しみ等が伝わる展示となるよう検討を重ねる。
としている。 一方で、市民から「人形を撤去する理由は、見た目が怖すぎるからだ」と批判が寄せられていることに対して、広島市は「凄惨な被爆の惨状を伝える資料については基本的にありのままで見ていただくべきという方針の下、この度被爆再現人形を撤去することとしたものであり、見た目が恐ろしい、怖いなどの残虐な印象を与えることなどを懸念して撤去するものではありません」「リニューアル後は、被爆者の遺品や写真、データ資料などを重視する方針で、残虐な印象を与えるから被爆人形を撤去するわけではありません」と、否定している。
なるほど。。。
確かに、「再現人形」ですからね。
「ありのまま」伝える、という基本に則るなら、撤去という判断にもなるわけですね。
私は、音声ガイドを借りたのですが、ほとんど同じ情報が文字情報として表示されているため、「要らなかったな」と途中感じたのですが、その音声ガイドは吉永小百合さんの抑揚のある優しい声で語られるため、そのことによってより、当時の人々の生活や、それが一瞬にして奪われたことが心に突き刺さるようでした。
そして、原爆、だけでなく、戦争の実際の様子も伝わってくるものがあるので、「世界中の人で世界平和について考える時間とする」という意味で、これは改悪ではなく、改善になっているのかな、と私自身は感じました。
(広島平和記念資料館 公式HPより拝借)
「全体的に、マイルドになったな」という印象はありますが、もちろん、写真などは焼きただれた皮膚の様子や、手足を失った人々の様子がそのまま残っていますし、
当時の人たちが後世に残そうと描いた絵も、本当に地獄絵図という言葉がぴったりで、そういう展示は残っています。
本館の見学が終わると、その黒い壁の照明を落とした空間で、胸が締め付けられる思いをしながら見学をした後、一気に美しい公園が広がる通路に出ます。
美しく整備された庭の奥には原爆ドームが見えます。
そこに2冊の本がテーブルに置かれていて、東南アジアの方らしき男性3人組が記入をしていました。
たくさんの人が、平和への思いを綴っています。
このノートの最初のページは、5月27日で、私が訪れたのは6月2日で、わずか数日の間に、この大学ノート1冊がほぼ終わりそうでした。
たくさんの人が訪れていること、そしてたくさんの人の心に何かが刻まれたことが感じられました。
最後に東館で、原爆がどうやって作られたのか、どうして広島・長崎に投下されたのか、などの展示があり、見学は終了します。
そのまま原爆ドームを見に行こうと、公園に出ました。
「安らかに眠ってください
過ちは
繰り返しませんから」
本当に。心からそう思いました。
今回の内容は、いつもなら通勤などの空き時間にブログを更新していくのですが、なかなか気軽に書けるものではなく。
時間が経ってしまったのですが、そんな時。
ちょうど、3日前のニュースで、
「原爆キノコ雲のロゴに疑問 日本人留学生の行動に反響 米西部」と出ていて、
アメリカ西部ワシントン州の地方紙に掲載された、ある日本人留学生の勇気ある行動が反響を呼んでいるというもの。
原爆キノコ雲のロゴに疑問 日本人留学生の行動に反響 米西部 | NHKニュース
ワシントン州のリッチランドは、長崎に投下された原子爆弾に使われたプルトニウムが生産された町で、地元の高校のロゴマークにキノコ雲のデザインが使われるなど、住民の多くはその歴史を誇りとしてきたのですが、一人の日本人留学生が疑問の声を上げたのです。
「原爆は戦争を終わらせた」と誇りを持つ側と、「キノコ雲の下にいたのは、兵士ではなく市民でした」という視点を投じた側。
立場が違えば判断が変わること、戦争も同じようにお互いが「正義だ」として起こるのだと思うと、本当に考えさせられるニュースでした。
改めて。
今の広島は本当にキレイ。
緑豊かで川の恵みもあって。
原爆ドームを上から眺められる、ということで、折り鶴タワーの展望台へ。
人工芝が敷かれていて、そのまま座ってピクニック気分で、広島の街を眺められます。
とても開放感があって気持ち良い!
原爆資料館を見た後だけに、1945年の原爆投下から 74年経って見事に復興したこの美しい街を見ると、やはり感慨深いものがあります。
見たかった上からの原爆ドーム。
より一層、緑と川に囲まれた豊かさの中にある、過去の悲惨な遺産の対比は訴えかけたてくるものがありますね。
折り鶴タワーの展望台の入場料は1700円と高い!と思いましたが、来てよかった。
その点、平和記念資料館の入場料は、広島市がやっていることもあり、200円と本当に安くて偉い!
長文、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今後も出張の多い夫婦なので、出張先で仕事以外の時間を見つけて、ブログにアップしていこうと思います!
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